「かぐや姫の物語」がアカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた高畑勲監督。監督作で一番好きなのはどの作品ですか?
高畑勲は1935年10月29日に三重県宇治山田市で生まれました。
アニメーターとして活躍し、1968年「太陽の王子 ホルスの大冒険」で監督デビュー。
「アルプスの少女ハイジ」、「母をたずねて三千里」などTVアニメの演出を担当し、1981年「じゃりん子チエ」を監督。
その後も「火垂るの墓」、「おもひでぽろぽろ」、「平成狸合戦ぽんぽこ」、「ホーホケキョとなりの山田くん」を監督。
そして14年ぶりの監督作「かぐや姫の物語」が第87回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネート。
高畑勲の主な監督作は次の通りです。
★「じゃりん子チエ」
はるき悦巳原作の下町人情漫画「じゃりン子チエ」を映画化したハートフル・コメディ。
1981年4月11日(土)公開。
バクチ好きのダメな父親テツに代わり、ホルモン焼きのお店を切り盛りしている大阪の女子小学5年生・竹本チエと周囲の温かい下町人情を描く…
チエちゃんとテツを演じた中山千夏と西川のりおほか関西芸人が声の出演をしていて、大阪の下町人情がおもしろおかしく描かれつつ、ちょっぴり泣けてくる作品です。
★「火垂るの墓」
直木賞を受賞した野坂昭如の小説を映画化した戦争アニメ。
1988年4月16日(土)に「となりのトトロ」と同時公開され、配収5.9億円のヒット。
終戦間近の神戸。清太と節子の兄妹は空襲の中、母親を亡くし、小母の家へ身を寄せるが、生活が苦しくなるに従って小母とのいさかいが絶えなくなり、清太は家を出る決心をする。
横穴壕で新しい生活を始めるが、やがて食糧が尽きてしまう…
戦時中の幼いふたりの兄妹が懸命に生きる姿があまりにもリアルに描かれていて、目をそむけたくなりますが、見ておくべき作品です。
★「おもひでぽろぽろ」
岡本螢、刀根夕子のコミックを宮崎駿プロデュースで映画化。
1990年7月20日(土)に公開され、配収18.7億円のヒット。
1982年、夏。東京での生活になんとなく物足りなさを感じている27歳の平凡なOL・タエ子が、小学5年生の頃の自分を振り返りながら当時の”ワタシ”を道連れに田舎へ旅をする…
主題歌は都はるみの「愛は花、君はその種子」。
大人向けのファンタジー作品で、どこか心に刺さってくる作品です。
★「平成狸合戦ぽんぽこ」
人間による自然破壊から自分たちの住処を守ろうと奮闘するタヌキたちの姿を描いたファミリー・アニメ。
1994年7月16日(土)に公開され、配収44.7億円の大ヒット。
ニュータウンの開発が進む平成の多摩丘陵地を舞台に、昔ながらの平和な暮らしを脅かされた狸たちが、人間たちに戦いを挑むことを決意する。社会的要素を含みながら笑いと涙の珍騒動を描く…
自然破壊など社会的要素を含みながら笑いと涙の珍騒動を描いていて、高畑勲監督のメッセージが伝わってきます。
★「ホーホケキョとなりの山田くん」
朝日新聞に連載のいしいひさいちの4コマ漫画「となりのやまだ君」を映画化したハートフル・ホームコメディ。
1999年7月17日(土)に公開され、配収8.2億円。
どこにでもいそうなごくありふれた庶民的な山田一家。その山田家の人々が繰り広げるおかしくてほのぼのした温かいエピソードの数々を短編集的な構成で描く…
山田一家の日常をほのぼのと温かく描いていて、心が温かくなってきます。
★「かぐや姫の物語」
「ホーホケキョとなりの山田くん」以来実に約14年ぶりの監督作で、2005年から足かけ8年ほどかけて準備、製作費は50億円の超大作。
2013年11月23日(土)に公開され、興収24.7億円のヒット。
かぐや姫は数ある星からなぜ地球を選んだのか、この地で何を思い、なぜ月へ去らねばならなかったのか、彼女が犯した罪とは、そして、罰とはいったい何だったのか!?
第87回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネート。
高畑勲監督の気持ちが伝わってくる渾身の力作で、映像は水彩画を思わせる美しいもので、あの「竹取物語」なのに、映像に引き寄せられ、見入ってしまい、時間が経つのがあっという間です。
https://www.youtube.com/watch?v=2KOKvYDLArg
これからもさらなる活躍が期待される高畑勲監督監督。
監督作で一番好きなのはどの作品ですか?