園子温監督「地獄でなぜ悪い」鑑賞。
映画愛にあふれた任侠映画を園子温らしいちょっと過剰な描写がたっぷりの映像で描いていて、思いっきり楽しめる作品です。國村隼、堤真一、二階堂ふみ、星野源、長谷川博巳ほかの演技が光っています。
1. 園子温が描く映画逢いにあふれた任侠映画
園子温が、十数年前から温めてきた企画を実写化しているだけあって、園子温らしいちょっと過剰な描写がたっぷり。
オープニングから昔懐かしいヤクザ映画風の展開で、様々なヤクザ映画へのオマージュがかなり描かれていて、ニヤリとさせてくれます。
さらにそのヤクザ映画に映画への愛の要素をたっぷりに描いていて、ちょっと無理があるような展開を強引に最後まで飽きることなく、見せてくれます。
ラストの殴りこみのシーンは過激すぎるくらいの過剰な描写ながら、笑いを誘うというちょっと不思議な体験ができます。
2. 國村隼、堤真一の二人のヤクザの対立と二階堂ふみの妖艶な魅力
極道・武藤組の組長・武藤大三には國村隼。ヤクザの組長のドスの利いたすごみをみせつつも、妻へと娘へは過剰な愛情を注ぎ、妻の夢であるまな娘のミツコの映画デビューを叶えるために映画製作を無理やり進めていく…
武蔵組と対立する池上組の組長で、ミツコに恋する池上純には堤真一。堤真一らしく、ヤクザのドスを利かせる顔を見せつつも、コミカルさな顔も見せてくれます。
この二人でなかったら、ここまで面白い展開はなかったのでは。
武蔵大三の娘のミツコには二階堂ふみ。ヤクザの組長の娘ならではの迫力と妖艶な魅力を見せてくれ、クレイジーな世界の中でも光輝いていて、國村隼、堤真一に負けず劣らずの存在感を見せてくれ、今までの作品とは違った魅力を披露してくれ、これからのさらなる活躍が楽しみです。
3. 映画マニアを演じる長谷川博巳のぶっ飛んだ演技と星野源ならではの演技と歌声
映画マニアの平田純には長谷川博巳。とにかく映画製作に尋常ではない愛情を込める平田を熱演。振り切った以上にぶっ飛んだ演技を見せてくれ、殴りこみを映画にするという無理くりな企画を実現させてしまう異常なパワーを発揮します。
そして通りすがりにミツコに出会い、様々な事件に巻き込まれる橋本公次には星野源。ごくごく普通の男を冴えなくて、情けないにも関わらず、どこか愛着を感じさせるのは星野源ならではです。
またエンディングで流れる主題歌「時刻でなぜ悪い」も星野源ならでは歌声とメロディで、この作品の締めくくりにふさわしい歌になっています。
とにかく過剰で過激で、ちょっと無理のある展開だらけですが、オープニングから世界に引き込まれてしまい、130分があっという間です。
この作品は大音響で、大スクリーンで楽しむのが一番です。