5月11日は映画芸術科学アカデミーが発足した日。ここ6年間のアカデミー賞作品賞受賞作で印象深いのはどの作品ですか?
1927年5月11日に映画芸術科学アカデミーは非営利組織として36人の会員により創立されました。
その年に第1回アカデミー賞が発表され、2021年で第93回。世界で一番権威のある映画賞となっています。
この6年間のアカデミー賞作品賞を受賞したのは第87回「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、第88回「スポットライト 世紀のスクープ」、第89回「ムーンライト」、第90回「シェイプ・オブ・ウォーター」、第91回「グリーンブック」、第92回「パラサイト 半地下の家族」。
この6作品の中で印象深いのはどの作品ですか?
★「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(原題 Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督がマイケル・キートン主演で再起をかけてブロードウェイの舞台に挑んだ落ちぶれた俳優の姿を描いたブラック・コメディ。
2015年4月10日(金)に公開され、興収4.3億円。
「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡した俳優が再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む…
第87回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門を受賞。
不条理なストーリーと独特の世界観、まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークなどアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の独特な映像とマイケル・キートンの狂気に満ちた演技に引き込まれていきます。
★「スポットライト 世紀のスクープ」(原題 The Spotlight)
新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話をトム・マッカーシー監督がマーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムスほか共演で映画化したドラマ。
2016年4月15日(金)に公開され、興収4.4億円。
カトリック教会が長年隠蔽してきた児童虐待スキャンダルを暴き出し、巨大な権力に立ち向かっていった新聞記者たちのジャーナリズム魂と不屈の執念を描く…
第88回アカデミー賞で作品賞、脚本賞を受賞。
世紀のスクープを追った記者チームの奮闘ぶりと信念を緊迫感あふれる映像で描いていて、マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムスが新聞記者魂を見事に体現していて、見応えがあります。
★「ムーンライト」(原題 Moonlight)
バリー・ジェンキンス監督が様々な困難に遭いながらも強く生きるアフリカ系アメリカ人少年を描いたドラマ。
2017年3月31日(金)に公開され、興収3.5億円。
マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを探すアフリカ系アメリカ人少年の成長を少年期、ティーンエイジャー期、成人期と3つの時代構成で描く…
第89回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、マハーシャラ・アリが助演男優賞の3部門受賞。
ドラッグ、差別、虐待…アメリカの現代社会の闇。自分の中の本当の心の光を探そうとするシャロンのもがきが痛いほどに突き刺さってきます。
★「シェイプ・オブ・ウォーター」(原題 The Shape of Water)
ギレルモ・デル・トロ監督がサリー・ホーキンス主演で描いた種族を超えた愛を描いたファンタジー・ロマンス。
2018年3月1日(木)に公開され、興収7.6億円。
冷戦時代のアメリカを舞台に政府の極秘研究所に勤めるイライザが秘かに運び込まれた不思議な生きものに出会い、惹かれていく…
第90回アカデミー賞で作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門、第75回ゴールデン・グローブ賞で監督賞、作曲賞の2部門、第74回ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞。
様々な陰謀や差別がうごめく中で繰り広げられる、種族を超えたラブ・ストーリー。独特の映像と世界観で描かれたギレルモ・デル・トロ監督版”美女と野獣”。感動させられます。
★「グリーンブック」(原題 Green Book)
ピーター・ファレリー監督がヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ共演で黒人ピアニストと用心棒の友情を描いたヒューマン・ドラマ。
2019年3月1日(金)に公開され、興収21.2億円。
人種差別が根強く残る1962年を舞台に、天才黒人ピアニストのシャーリーが粗野なトニーを用心棒として雇い、アメリカ南部へコンサート・ツアーに出かける…
第91回アカデミー賞で作品賞、マハーシャラ・アリが助演男優賞、脚本賞の3部門、第76回ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門の作品賞、ヴィゴ・モーテンセンセンが主演男優賞、監督賞、脚本賞、マハーシャラ・アリが助演男優賞の5部門、第43回トロント国際映画祭で観客賞(最高賞)を受賞。
ガサツなイタリア系用心棒とインテリな黒人天才ピアニストの前途多難な旅。様々な困難、差別を乗り越えて、徐々に深まっていく二人の友情には感動させられます。
★「パラサイト 半地下の家族」(原題 Parasite)
ポン・ジュノ監督がソン・ガンホ主演で韓国社会の闇を描いたブラック・コメディ。
2020年1月10日(金)に公開され、興収46.6億円。
2020年7月22日(水)にブルーレイ&DVD発売。
全員無職で半地下の家で暮らすキム一家が徐々に裕福なパク家に入り込み、寄生していく…
第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門、第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、第77回ゴールデン・グローブ賞で外国語映画賞を受賞。
富裕層に寄生していく貧困層のキム一家を通して、シニカルに描かれる格差と分断の問題。いろいろなことを考えさせられ、心に突き刺さってきます。
★「ノマドランド」(原題 Nomadland)
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」をクロエ・ジャオ監督がフランシス・マクドーマンド主演で映画化。
車上生活者、”現代のノマド(遊牧民)”の生き様を描いたロード・ムービー
2021年3月26日(金)公開。
金融危機により全てを失った60代女性ファーンが車上生活者、”現代のノマド(遊牧民)”として生きる希望を求めて放浪の旅を続ける…
第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞の3部門、第78回ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門作品賞、監督賞の2部門、第77回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第45回トロント国際映画祭で観客賞を受賞。
広大な西部の大自然の映像美とともに描かれる今を生きる”現代のノマド(遊牧民)”の希望。
ここ6年間のアカデミー賞作品賞受賞作で印象深いのはどの作品ですか?